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ラーメン王国として知られる新潟は、電車で気ままに巡るだけでも思いがけずおいしい一杯に出会える土地である。今回の舞台は、新潟駅から柏崎駅を結ぶ越後線。小針駅から徒歩15分ほど、新潟市西区の飲食店や商業施設が立ち並ぶ一角にあるのが、創業45年を誇る「食堂 味吉」。この店は、ご飯物から麺類まで幅広いメニューをそろえる昔ながらの食堂であり、特にボリューム満点の定食が人気を集めている。たとえば「チキン南蛮ダブル」は、2枚重ねの唐揚げに山盛りのご飯が付く豪快な一品で、通常盛りでも圧倒的な量を誇る。また「ギョーザ定食」も、長さ約15センチの巨大な餃子が5本並ぶインパクト抜群の内容で、迫力ある盛り付けが評判だ。

しかし、この店の魅力は量だけではない。実は麺類のクオリティも高く、21種類ものラーメンが用意されている。その中でも特におすすめなのが「辛味麺」である。辛さは1.5辛から15辛まで5段階に分かれている。

調理は強火で豚肉と野菜をラードで一気に炒めるところから始まり、そこにスープを加えて軽く煮込む。味の決め手となるのは、店主が厳選したトウバンジャン。刺激的な辛さの中にほのかな甘みを感じる“うま辛”が特徴で、これを加えることで全体に深みが生まれる。さらに具材はやわらかめの「あん」にまとめられ、しょう油ベースのスープと細いちぢれ麺の上にたっぷりとかけられる。こうして完成した一杯は、具沢山で見た目にも食欲をそそる。

実際に食べてみると、チャーシューのうま味が溶け込んだ穏やかなスープとピリ辛のあんが絶妙に調和し、麺によく絡む。辛さは控えめながら後からじんわりと効いてきて、食べ進めるうちに自然と汗がにじむ。辛いものが得意でない人でも楽しめるバランスで、後味はすっきりとしているのが特徴だ。

一方で、さらに刺激を求める人のために用意されているのが、最上級の「15辛」、通称「辛死麺」である。こちらはトウバンジャンの量が1.5辛の実に15倍という強烈さで、見た目からして真っ赤。ひと口食べれば強烈な辛さが襲うが、ごま油などの隠し味によって、単なる激辛では終わらず、しっかりとうま味も感じられる。辛さとおいしさが交互に押し寄せる感覚はクセになる一方、あまりの刺激に一口で限界を感じる人もいるほどだ。

このように「味吉」の辛味麺は、辛さの段階に応じて異なる楽しみ方ができるのが魅力である。穏やかな辛さでじっくり味わうもよし、限界に挑戦するもよし。それぞれのレベルで、うま味と辛味の奥深いバランスが堪能できる。

越後線沿線には、このように個性豊かなラーメンが点在しており、途中下車の旅ならではの発見がある。新潟のラーメン文化は懐が深く、気軽な食堂であっても高い完成度の一杯に出会えるのが魅力だ。汗をかきながら夢中で食べたくなる辛味麺は、その象徴ともいえる存在であり、訪れる人々を惹きつけてやまない。

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